本が読みたくなってきたんだぜ

n「この世は幸せになる人数が少なすぎるよ」

n「僕はあいつが、あいつらが許せないよ。
人を踏み台にして幸せになる奴らが」

a「・・・それって誰なの」

n「誰かさ。大勢いるんだ、そういう奴は。
誰かの不幸やら痛みを自分の残虐さや
哀れみを引き立てる道具にする」

n「親友が死んだら親友を失った者の
可哀想さが注目されるし、それを救う役目の
人物は救世主扱い。
僕からしたらハイエナだよ」

n「薄汚いハイエナめ!!
人を踏み台にしやがって」

a「・・・その誰かは誰かを踏み台にしたなんて
思っちゃいないさ」

n「そんなことわかってるんだよ本当は。

・・・ただ、それはつまり
何も知らずにただのうのうと
平和を享受しているということじゃないか」

a「・・・なんとでも言えるね。
君はどうなってほしいんだい？」

n「皆が幸せになればいいのさ」

n「それがだめならみんなまとめて
地獄に堕ちればいいのに」

n「みんな一緒に・・・

みんな別々の地獄に堕ちればいい。
誰も結ばれなくたっていいんだ。
誰かがあぶれるくらいなら
皆不幸になっちまえよ」

a「むちゃくちゃだよ」

a「さっきの、親友と男が幸せになる道はないの？」

n「だめなんだよそれじゃあ。
救世主となるはずだった奴があぶれるだろ」

n「そういうのが嫌なんだよ」

n「僕はあぶれた奴こそ幸せにしたくなってしまうし
段々と好きになっていってしまうたちでね」

a「偽善者」

n「そうかい？そうかもね」

a「自分の好きなものが幸せにならないのを
妬んでいるようにしか聞こえないよ」

a「幸せにならないのなら好きなもの
もろとも消えてしまえなんて最悪だ」

a「メンヘラと変わりないな」

a「あなたを殺して私も死ぬとか言い出しそうだ」

a「それかあなたを殺すことで
永遠にあなたは私のもの、とか」

n「否定はできないよ」

n「だからそうならないようにさ
みんな幸せになればいいんだ」

n「みんながみんなハッピーエンドになる
物語だっていいじゃないか」

n「誰かが死なないとおもしろくないのかい？」

n「救いって何さ！」

n「誰かが死んで得た幸福なんてまっぴらだ!!
古いんだよそういうのは!!」

a「君は今何人の人間を否定したと思っているんだ」

n「数えきれないよ。きっと」

a「話してられないよ」

n「別にいいさ。君がこの世を
改変してくれるとは思わないしね」








n「好きな人に幸せになってほしいと願うことは
いけないことなのか？」

a「自分が幸せにしてやろうとは思わないの？」

n「無理だよ。それにはまず神を殺さなきゃ」