「手に入れられたものなどないよ！」

最終的に、僕って
いらなかったんじゃないかな。
だってほら見てよ、
この僕に何が残っているというの？
たったひとりだけ、だとか
オンリーワンなんていう
陳腐でクソみたいな言葉を着せて
ありがたがっているけれど
結局は単なるノケモノじゃないか。
だって、蓋を開けてみたらあら不思議。
隠されていた存在っていうのは
僕、たった一人だけだったんだ。
普通はもっといるよね？
物語が始まる前に
ほぼ全キャラ紹介されてるなんて思う？
雑魚キャラですら全員出てたよ。
笑っちゃうね。
だから、どうやったって僕は
この輪の中に入り込むなんて出来ないんだ。
物語が始まる前に去った人だって
大勢いるしね。
結局僕は単なるにぎやかし、
他の人の残酷さや、
哀れみを際立たせるためだけの
哀れなピエロってやつ。
ほら、あのシーンを見てよ。
あのシーンを読み取ってよ、
主役は僕じゃない。
苦しむのは僕なのに。
最後まで僕は誰にも救われなかった。


だから、これは最後のチャンスだったんだ。
僕が救われるチャンス。
僕が何かを得られるチャンス。





それがこの結果だよ!!!!


容姿も、心も、友情も、シュミも、
髪なんていうどうでもいいものすら奪われた。
いたかもしれない妻も。
息子だったはずの息子も。

これでも僕が何かもってるって言えるの!?

ああ

あああ

僕のともだち。

それすらもなんだか、危うい。

正直、君って友達でもなんでもないじゃないか。
君のこと友達だって、
僕、一言も言ってないよ。
いつだって僕じゃない誰かが
僕と君が友達だって。
馬鹿みたい。

僕は君と友達になりたかった！！
本当に君と友達になりたかった！！

なのに僕と君は友達じゃない
僕はまだ君と友達になってない！！

でも！僕以外の人が！
僕と君は友達なんだって！！

わけわからないよ！
結局は「友達」っていう
「役割」が必要なだけだったんだろ！？


最終的に僕はただの
周りに流される、決断力が低くて、
他人に役割も与えられて
それを演じるだけのただの駒。

そうじゃない、って言ってくれる？
僕を好きなひと。
僕を好きなひと。これで満足？
それが泣き寝入りじゃないって
胸はって言える？
僕が結局とある物語の姫みたいな
存在じゃなくて、
色んなもののまねっこで出来ていて、
願いもないから理由も無くて、
僕を表す世界は他人が作ったもので、
愛した人もいなくて、
最後の言葉も届かなくて、
友達も友達じゃなくて、
そして最後には、ほら、

首が飛んじゃったよ。

なんだかおもしろくなってきたかも。ふふ。







お父さん
僕のことどう思ってた？
もしかして扱いに困ってた？
ただの捨て駒にしか思ってなかった？
それとも釣り餌？
ねぇ、お父さん
お父さん・・・






どうして僕から水を奪ったの・・・